A/Bテストの結果が「表示回数はAが圧勝、でもクリック率と予約はBが上」と分かれたら、どちらを勝ちとすればよいでしょうか。広告の担当者なら、一度は迷う場面だと思います。
この記事では、住宅会社の完成見学会の広告で、イラストを使った2つのバナーを比べたA/Bテストをご紹介します。青空とテラスのイラストのAは、室内のイラストのBの約8.2倍表示されました。一方で、クリック率はBが約1.2倍高く、来場予約がついたのもBだけでした。この結果をどう読み、次にどう活かすかをまとめます。
テストの概要
| 業種 | 住宅会社(完成見学会) |
|---|---|
| 目的 | 見学会の来場予約を増やす |
| 配信媒体 | Meta広告(Instagram・Facebook) |
| 期間 | 約10日(見学会の当日まで。配信は終了済み) |
| 比べたもの | イラストの場面(青空と屋外テラス/室内)と、コピー・エリア名の置き方 |
AとBで変えたところ

Aパターン(青空と屋外テラス)は、青空のイラストを背景に、パラソルやウッドデッキのある屋外テラスを描いたバナーです。上の部分にエリア名を特大で置き、その下に横書きのコピーをまとめました。イベント名と日時は、いちばん下の白い帯に入れています。
Bパターン(室内)は、窓から光が入るリビングとキッチン、ソファでくつろぐペットを描いた、やわらかい雰囲気のバナーです。コピーは右側に縦書きで置き、エリア名とイベント名・日時は下の白い部分にまとめています。
どちらも写真ではなくイラストで、コピーの内容も同じです。子どもが外で遊ぶ心配をせずに過ごせる、という暮らしの安心感を伝えるコピーでした。変わったのは、イラストの場面と、コピー・エリア名の置き方です。
結果:表示はA、クリック率と予約はB

- 表示回数:AはBの約8.2倍
- クリック率(CTR):Aが2.95%、Bが3.60%(Bが約1.2倍、+0.65ポイント)
- 来場予約:予約がついたのはBだけ
クリック率(CTR)は、広告が表示された人のうち、クリックした人の割合です。Aは配信の初めから表示が大きく伸び、そのまま最後まで差が開いたままでした。一方で、クリック率は2つとも高い水準ながらBのほうが上で、来場予約につながったのもBだけでした。
どちらを「勝ち」と見るか
このチームでは、表示回数を優先して勝ち負けを決めているため、今回はAを「勝ち」としています。表示回数が多いバナーは、より多くの人に届き、配信を続けるほど予約が生まれる可能性も広がるからです。
ただし、見学会のように開催日が決まっていて、配信できる期間が短い広告では、その期間内に予約が取れるかどうかも大切です。今回のように予約がついたのがBだけという結果は、軽く見ることはできません。私たちは、この結果を「Aの勝ち」で終わらせず、Aの届く力と、Bの響く力をどう組み合わせるかのヒントとして受け止めています。
Aが多く表示された理由
Aは、青空の背景に、エリア名とコピーを上にまとめた形でした。これは、これまでの私たちのテストでもよく表示されてきた「勝ちパターン」の形です。青空の明るさで目に留まりやすく、エリア名が大きいので「近くの見学会だ」とすぐに伝わります。Meta広告の仕組みとして、配信の初めに反応がよかったバナーに表示が集まりやすいため、そのままAに配信が偏ったと考えられます。
Bがクリックと予約につながった理由
イラストとコピーに「物語」があった
Bの室内のイラストは、ペットがソファで眠り、窓から光が差し込む、穏やかな日常の一場面でした。そこに暮らしの安心感を伝えるコピーが重なることで、「この家でこんなふうに過ごせたら」と、見る人が自分で想像をふくらませやすかったと考えられます。表示された人数は少なくても、目に留めた人の気持ちを強く動かしたことが、クリック率と予約に表れたと考えられます。
見る人の好みに合っていた
やわらかいイラストのためか、AとBはどちらも女性に多く配信されました。そのうえで、Aはアウトドアや活動的なことが好きな人、Bはナチュラルで丁寧な暮らしを好む人に響きやすい雰囲気だったと考えられます。見学会に足を運ぶ人の好みには、Bの雰囲気のほうが合っていたのかもしれません。
Bの弱点と、次に試したいこと
Bにも弱点はありました。コピーは屋外での遊びの安心感を伝えているのに、イラストは室内の場面で、言葉と絵が少しずれていました。また、縦書きで文章が長く、ぱっと読みにくい作りでした。次は、次のような組み合わせを試すことが考えられます。
- Bのやわらかいタッチで、青空と外観を描く:Aの「上に情報をまとめ、余白をとる」構成に、Bのイラストの雰囲気を組み合わせます
- 絵に合わせてコピーを変える:外観なら外での過ごし方、内観なら室内のくつろぎと、場面に合った言葉にします
- コピーは横書きにして、メリハリをつける:文章のように長く見えないよう、強調する言葉と短い補足に分けます
他の業種でも使えるポイント
- 勝ち負けの基準は、配信の前に決めておく:表示回数・クリック率・予約のどれを優先するかで、勝ちが入れ替わることがあります。イベントの告知など期間が短い広告ほど、予約などの成果を重く見る判断もあります
- 負けたバナーの「響く力」を次に活かす:表示で負けても、クリック率や予約が高いバナーには、見る人の心をつかむ要素があります。その要素を、よく表示される構成に移して試します
- 絵とコピーは同じ場面を伝える:店内の写真に外での体験のコピーを重ねるなど、言葉と絵がずれると伝わりにくくなります
まとめ
完成見学会の広告で、青空とテラスのイラストと、室内のイラストのバナーを比べました。表示回数はAが約8.2倍と大きく上回った一方、クリック率はBが約1.2倍高く、来場予約もBだけにつきました。表示回数を優先する基準ではAの勝ちですが、Bの「物語のある絵とコピー」には、見る人の心を動かす力がありました。どちらか一方を選ぶのではなく、Aの構成とBの雰囲気を組み合わせて、届く力と響く力を両立させることが次の課題です。
アドデザインラボでは、こうしたA/Bテストを毎週続けています。「テストの結果をどう読めばいいかわからない」「見学会の予約を増やしたい」という方は、お気軽にご相談ください。
