何棟かのモデルハウスを同時に公開するイベントでは、「全部の家を見せたい」と考えるのが自然です。ところが、1枚のバナーに複数の家を同じ大きさで並べると、1棟ずつが小さくなり、かえって伝わりにくくなることがあります。
この記事では、地方の住宅会社が3棟を同時に公開した見学会の広告で行ったA/Bテストをご紹介します。1棟を主役に大きく見せたバナーが、2棟を左右に2分割で並べたバナーの約7倍表示され、クリック率も上回りました。
テストの概要
| 業種 | 住宅会社(3棟を同時に公開する見学会) |
|---|---|
| 目的 | 来場予約をできるだけ多く獲得する |
| 配信媒体 | Meta広告(Instagram・Facebook) |
| 期間 | 約9日間 |
| ターゲット | 20代半ば〜50代の男女のうち、過去にサイトを見た人など(リターゲティング) |
| 比べたもの | 複数棟の見せ方(1棟を主役にする/2棟を2分割で並べる)と、コピーの置き方 |
公開した3棟には、平屋と2階建ての両方がありました。平屋と2階建てを一度に見比べられることが、このイベントの大きな魅力です。
AとBで変えたところ

Aパターンは、明るいグレーの背景に、イベント名・サブコピー・開催日をバナーの上にまとめたものです。その下に平屋1棟の切り抜き写真を大きく置き、残りの2棟は小さく添えて「3棟見られる」ことを伝えています。
Bパターンは、上半分を左右に分け、平屋と2階建ての写真を半分ずつ並べたバナーです。3棟すべてを載せると1棟ずつが小さくなるため、2棟に絞っています。写真の上には、平屋と2階建てを比べさせるコピーを大きく重ね、イベント名は下半分に置きました。
結果:1棟を主役にしたAが約7倍表示

| バナー | クリック率(CTR) | 表示回数 | 来場予約 |
|---|---|---|---|
| A 1棟を主役に大きく | 1.58% | Bの約7倍 | あり |
| B 2棟を2分割で並べる | 1.32% | — | なし |
クリック率(CTR)は、広告が表示された人のうち、クリックした人の割合です。表示回数はAがBの約7倍、クリック率もAの方が0.26ポイント高く、来場予約がついたのもAだけでした。表示回数・クリック率・予約のすべてでAが上回った、はっきりした結果です。
なお、Aは配信を始めて1週間ほどで来場予約がつき、その後はMeta広告の仕組みでAに配信が寄っていきました。表示回数の差が大きく開いたのには、この点も影響しています。
2分割のBが負けた理由
「3棟」なのに写真は2棟。言葉と写真が食い違った
Bはイベント名で3棟を同時に公開すると伝えながら、写真は2棟だけでした。さらに大きなコピーは「平屋と2階建ての比較」を投げかけていて、見る人には「結局、何棟の、何のイベントなのか」がわかりにくくなっていました。一瞬で内容がつかめない広告は読み飛ばされやすく、配信も伸びにくくなると考えられます。
大きなコピーに、イベント名が埋もれた
Bは写真の上に重ねたコピーが大きく、色の差(コントラスト)も強かったため、一番伝えたいはずのイベント名が下半分で目立たなくなりました。Aのように、イベント名・開催日をバナーの上にまとめ、サブコピーは小さく添える方が、何の広告かがすぐに伝わります。
2分割で、写真1枚ずつの迫力がなくなった
住宅の広告では青空の外観写真が強い傾向がありますが、Bは2枚の写真を半分ずつに分けたため、1枚ずつが小さくなり、その強みを生かせませんでした。写真2枚に大きなコピーが重なって情報も多くなり、スクロール中に目を留めてもらいにくくなったと考えられます。
私たちが担当した他の住宅会社のテストでも、1枚のバナーに複数棟の写真を同じ大きさで敷き詰めた案は、表示回数が大きく下がりやすい傾向が見られます。
複数棟を見せたいときの改善案
- 主役の1棟を決めて大きくする:新しいモデルや、反応の良かったモデルを大きく見せ、ほかの棟は小さく添える
- 3棟を見せるなら、1枚の風景にまとめる:画面を区切って並べるのではなく、3棟を合成して隣どうしに並べた1枚の写真にすると、「まとめて見られる」ことが自然に伝わります(合成写真を使ってよいかは、事前に確認が必要です)
- コピーは優先順位をつけて差をつける:「3棟をまとめて見られる」「平屋と2階建てを見比べられる」のように魅力が2つあるときは、どちらを先に伝えるかを決め、大きさだけでなく色の差でもメリハリをつける
「平屋か2階建てか」という比較のコピーは、家づくりを考える人には響く切り口です。今回はイベント名やサブコピーと同時に入れたことで情報が多くなりましたが、比較のコピーを主役にしたバナーは、改めて検証する価値があります。
他の業種でも使えるポイント
- 見せたいものが複数あっても、主役は1つ:店舗やメニュー、コースがいくつあっても、1つを大きく見せ、ほかは小さく添えた方が目に留まります
- コピーの数字と写真の数をそろえる:「3店舗」「3つのコース」とうたうなら、写真や図でも3つが伝わるようにします。言葉と写真が食い違うと、見る人が迷います
- 一番伝えたい言葉を、一番目立たせる:大きなキャッチコピーにイベント名や店名が埋もれていないか、公開前にスマホで確認します
まとめ
3棟を同時に公開する見学会の広告で、1棟を主役に大きく見せたバナーが、2棟を2分割で並べたバナーの約7倍表示され、クリック率も来場予約もAが上回りました。複数の家を見せたいときほど、全部を同じ大きさで並べず、主役の1棟を決めること。そしてコピーと写真の内容をそろえることが大切です。
アドデザインラボでは、こうしたA/Bテストを毎週続けています。「複数のモデルハウスをどう見せればいいか迷っている」「見学会の予約を増やしたい」という方は、お気軽にご相談ください。
