A/Bテストは、1回やって終わりではありません。負けたバナーの理由を考え、次のバナーに反映して、もう一度比べる。その積み重ねで、広告は少しずつ良くなっていきます。
この記事では、地方の住宅会社が販売する分譲地の広告で、2回続けて行ったA/Bテストをご紹介します。1回目は「区画図」と「家族の写真」のどちらを主役にするか。2回目は、1回目の反省を反映して「駅からの地図」を主役にし、ボタンの文言も見直しました。2回目の結果は、配信中の途中経過です。
テストの概要
| 業種 | 住宅会社(分譲地の販売) |
|---|---|
| 目的 | 分譲地の資料請求と、現地見学の来場予約 |
| 配信媒体 | Meta広告(Instagram・Facebook) |
| 期間 | 1回目・2回目とも約1週間(2回目は配信中の途中経過) |
| ターゲット | 2回目は、住宅・不動産に興味のある25〜49歳 |
| 比べたもの | 1回目:メインのビジュアル(区画図+家族の写真/家族の写真) 2回目:メインのビジュアル(地図/区画図)とボタンの文言 |
1回目:区画図を入れた案が、家族の写真に勝った

1回目は、駅までの近さを伝えるメインコピーと区画数の表示はそのままに、メインのビジュアルを変えて比べました。Aパターンは、区画の形と広さがわかる区画図を右半分に大きく置き、家族の写真は左下に小さく添えたバナーです。Bパターンは、並木道に家族が並ぶ写真を全面に使い、エリア名と、子育て世帯への安心感を伝えるサブコピーを下の箱にまとめました。
結果は、Aのクリック率(CTR:広告が表示された人のうち、クリックした人の割合)が2.63%、Bが1.94%で、Aが0.69ポイント上回りました。表示回数も、AがBの約42倍と大きく差がつきました。
Bが負けた理由として、チームでは次の2つを挙げました。
- 家族の写真とメインコピーがつながっていない:クリックした先のページに合わせて家族の写真を使ったものの、コピーが伝えている「駅までの近さ」を写真が支えていませんでした
- 分譲地のイメージがわかない:家族の写真だけでは、どんな土地を売っているのかが伝わりにくかったと考えられます
そのうえで、次のテストに向けた改善案を出しました。
- 駅までの道のりがわかる地図を主役にして、メインコピーの「駅までの近さ」と絵をそろえる
- 子育て世帯に響きそうなエリア名と街の安心感を、目に入りやすい位置に移す
- スーパーや病院、学校など、周辺の便利さが伝わる情報を載せる
2回目:改善案を反映した「地図が主役」の案を投入

Aパターン(新しい案)は、1回目の3つの改善案を反映したバナーです。駅から分譲地までの道のりを描いた地図を中央に大きく置き、エリア名は色の帯に入れて上部で目立たせました。住環境や交通アクセス、周辺環境のよさを伝えるサブコピーは、地図の上に重ねています。いちばん下には、資料請求と見学予約への誘導をボタンの形にして、見る人がとる行動をそのまま書いた文言にしました。
Bパターン(改訂版)は、1回目に勝ったAを手直ししたバナーです。家族の写真を淡い色調の後ろ姿に差し替え、メインコピーを1行に短くしました。資料請求と見学予約の案内は、受け付けていることを知らせる帯のままです。
2回目は、メインのビジュアルとボタンの文言を同時に変えています。そのため、どちらがどれだけ効いたのかは切り分けられない点はご了承ください。
結果:地図の案に表示が集まり、来場予約もこちらに

| テスト | バナー | クリック率(CTR) | 表示回数 | 来場予約 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目 | A 区画図+家族の写真 | 2.63% | Bの約42倍 | — |
| 1回目 | B 家族の写真が主役 | 1.94% | 1 | — |
| 2回目 | A 地図が主役 | 1.07% | よく伸びた | あり |
| 2回目 | B 1回目Aの改訂版 | 0.94% | ほとんど表示されず停止 | なし |
2回目(途中経過)は、Aのクリック率が1.07%、Bが0.94%で、Aが0.13ポイント上回りました。来場予約がついたのはAだけです。Bはほとんど表示されないまま、配信を止めています。
なお、1回目と2回目では配信の時期や配信先の条件が違うため、回をまたいでクリック率を比べることはしていません。それぞれの回の中での勝ち負けとして見てください。
2回目で地図の案が勝った理由
コピーと絵が、同じことを伝えていた
メインコピーが伝えたいのは、駅から歩いて行ける近さです。Aは、駅から分譲地までの道のりを地図で見せたことで、コピーと絵が同じことを伝える形になりました。1回目で指摘した「家族の写真とコピーがつながっていない」という弱点を、そのまま解消できたと考えられます。
ボタンの文言が、見る人の目線になった
Bの案内は、資料請求や見学予約を受け付けていることを知らせる、会社側からのお知らせの言い方でした。Aは、見る人がこれからとる行動(資料の受け取りや見学の予約)を動詞で書き、押せそうなボタンの形にしています。私たちが担当してきた広告でも、「詳しくはこちら」のような言葉より、押した後に何が得られるかを書いたボタンの方が反応がよい傾向があります。チームでも、勝因の1つと考えています。
改訂版は「見たことがある広告」になっていた
Bは、1回目から配信していたバナーの写真とコピーの長さを変えた改訂版です。全体の構成は同じだったため、すでに広告を見ていた人には新しさが感じられなかったと考えられます。写真や見出しを少し変えるだけでは、新鮮さは戻りにくいということです。
先に予約がついた方へ、表示が寄った
Meta広告は、反応がよい広告により多くの表示を割り当てる仕組みになっています。Aに来場予約がついたことで、表示がAに集まり、Bはほとんど表示されなくなったと考えられます。
3回目に向けた改善案
- 負けた側も「地図が主役」で、別の見た目にする:好立地とアクセスのよさを押し出す方向は残しつつ、色や構図を変えて、Aとは違う印象のバナーを作ります
- ボタンの文言を、見る人の目線にそろえる:勝ったAと同じく、押した後に得られることを書いた文言にします
他の業種でも使えるポイント
- 負けた理由を言葉にして、次のバナーに入れる:「コピーと写真がつながっていない」のように理由を書き出しておくと、次に何を変えればいいかがはっきりします
- ボタンには「押した後に何が起きるか」を書く:店舗の予約や体験の申し込みでも、「受付中」のようなお知らせや「詳しくはこちら」より、見る人の行動をそのまま書いた方が伝わりやすくなります
- 改訂版より、新しい案で勝負する:勝ったバナーを少し手直しするだけでは、新鮮さが出にくいことがあります。比べる相手は、見た目がはっきり違う案にします
まとめ
分譲地の広告で2回続けてA/Bテストを行い、1回目は区画図を入れた案が家族の写真に勝ちました。2回目は1回目の反省を反映して、駅からの地図を主役にし、ボタンを見る人の目線の文言に変えた案が、途中経過の時点で来場予約につながっています。負けた理由を次のバナーに入れていくことで、広告は一歩ずつ良くなります。
アドデザインラボでは、こうしたA/Bテストを毎週続けています。「テストはしたけれど、次に何を変えればいいかわからない」「分譲地や見学会の広告を改善したい」という方は、お気軽にご相談ください。
