分譲地のイベントを広告で告知するとき、メインの画像は「分譲地そのものの写真」と「場所がわかる地図」のどちらがよいのか。今回は、住宅会社が分譲地で開くイベントの広告で、周辺の地図イラストと、上空から撮った分譲地の俯瞰(ふかん)写真を比べたA/Bテストの結果をご紹介します。
結果は、地図イラストのバナーが俯瞰写真の約8倍表示され、イベントのWeb予約も地図のバナーにだけつきました。写真のほうが「本物」が伝わりそうなのに、なぜ地図が勝ったのか。理由と、次に試したい改善案をまとめます。
テストの概要
| 業種 | 住宅会社(分譲地で開くイベント) |
|---|---|
| 目的 | イベントのWeb予約 |
| 配信媒体 | Meta広告(Instagram・Facebook) |
| 期間 | イベント開催前の告知期間(イベント終了後の最終結果) |
| 配信先 | 興味・関心で絞った配信と、条件を絞らない配信の2つで比較 |
| 比べたもの | メインの画像(地図イラスト/俯瞰写真)と、イベント名の組み方 |
AとBで変えたところ

Aパターン(地図)は、分譲地のまわりの道路や学校・お店などの目印を描いた地図イラストを、バナーの中央に大きく置いたものです。最寄りの停留所から分譲地までの行き方を矢印で示し、分譲地の位置を色と吹き出しで目立たせています。イベント名は上部に1行でまとめています。
Bパターン(俯瞰写真)は、青空と街並み、造成中の分譲地を上空から撮った写真を全面に使ったものです。近くの駅や学校の名前を吹き出しで載せ、イベント名は左右2つに分けて大きく入れています。
下の帯(イベントの内容、Web予約の特典、ロゴ)は、AとBでほぼ同じです。ただし、メインの画像だけでなく、イベント名の組み方や背景の色味も同時に変わっているため、「画像だけの差」とは言い切れない点はご了承ください。
結果:表示回数に約8倍の差

- 表示回数:AはBの約8倍(興味・関心で絞った配信では約13倍、条件を絞らない配信では約3.6倍)
- クリック率(CTR):興味・関心で絞った配信でAが0.75%、Bが0.69%(差は0.06ポイント)。条件を絞らない配信でAが0.79%、Bが0.69%(差は0.10ポイント)
- Web予約:Aでは2つの配信のどちらでも予約がつき、Bではつきませんでした
クリック率(CTR)は、広告が表示された人のうち、クリックした人の割合です。どちらの配信でもAのほうが少し高いものの、差は0.1ポイント以内でした。大きく差がついたのは広告が表示された回数で、このチームでは表示回数を優先して勝ち負けを決めているため、Aの勝ちとしています。
地図のバナーが勝った理由
「どこで、どう行くか」がひと目でわかる
分譲地のイベントに行くかどうかを決めるとき、見る人がまず気にするのは「家からどのくらいの距離か」「どう行けばいいか」です。Aの地図は、知っている道路や目印と、分譲地までの行き方が一度に目に入ります。一方、Bの俯瞰写真は街全体が写っているぶん、会場までの距離やアクセスがつかみにくかったと考えられます。
「よくある分譲地の広告」に見えなかった
青空と街並みの俯瞰写真は、分譲地の広告ではよく使われる見せ方です。タイムラインを流し見している人には「見たことがある広告」に映り、手を止めるきっかけになりにくかったと考えられます。地図イラストは見慣れない分、目に留まりやすかったのかもしれません。
白い造成地に目が引っぱられた
Bの写真では、造成中の分譲地が白く大きく写っていました。画面の中でいちばん明るい部分に視線が集まるため、イベントの内容や駅からの近さより先に「何もない白い土地」が目に入り、暮らしのイメージにつながりにくかったと考えられます。
反応の差が、表示回数の差に広がった
Meta広告は、配信を始めてすぐの反応がよい広告に、より多くの表示を割り当てる仕組みになっています。クリック率の差は小さくても、初めのうちの反応の差が積み重なり、約8倍という大きな差になったと考えられます。私たちが担当した別の住宅会社の分譲地の広告でも、駅からのアクセスがわかる地図を主役にしたバナーが、家族のイメージ写真を主役にしたバナーよりクリック率・表示回数とも上回った例があります。
次に試したい改善案
勝った地図のバナーにも、まだ伸ばせるところがあります。社内で出た改善案は次のとおりです。
- 地図をもっと大きく、分譲地に寄せる:周辺の目印を減らし、分譲地とその近くだけを大きく見せると、場所がさらに伝わりやすくなります
- イベント情報は文字より写真で見せる:キッチンカーなどのイベントの内容は、文字で並べるより写真を主役にして、ひと目で楽しそうだと伝わる形にします
- アクセスのよさを一言で書き添える:「主要な駅から車で○分」のように、地図だけでは伝わりにくい近さを短い言葉で補います
- 俯瞰写真を使うなら、きれいなものに差し替える:造成中の白い土地が目立たない写真であれば、写真のバナーも改めて試す価値があります
他の業種でも使えるポイント
- 「来てもらう」広告は、行き方がわかる地図を候補に入れる:見学会やイベントだけでなく、店舗やジム、クリニックの広告でも、場所と近さが伝わることが行動のきっかけになります
- 画面の中でいちばん目立つ部分を確かめる:明るい余白や大きな空き地など、伝えたいこと以外に視線が集まっていないかを、配信前に見直します
- クリック率だけでなく、表示回数と予約の数も比べる:クリック率の差が小さくても、表示回数や予約の数には大きな差がつくことがあります。どの数字で勝ち負けを決めるかを、配信の前に決めておきます
まとめ
分譲地のイベント広告では、周辺の地図イラストを主役にしたバナーが、分譲地の俯瞰写真の約8倍表示され、Web予約にもつながりました。「どこで、どう行くか」がひと目でわかることが、写真のリアルさよりも効いたと考えられます。土地や会場に足を運んでもらう広告では、まず地図を主役にしたパターンを試してみてはいかがでしょうか。
アドデザインラボでは、こうしたA/Bテストを毎週続けています。「自社の見学会やイベントの広告で、どんな見せ方が効くか知りたい」「今のバナーの勝ちパターンを見つけたい」という方は、お気軽にご相談ください。
