バナーのA/Bテストでは、「たくさん表示されたバナー」と「予約につながったバナー」が一致しないことがあります。今回ご紹介するのは、地方の住宅会社の完成見学会の広告で、そのずれがはっきり出たテストです。
表示回数とクリック率では、暗い背景に斜めから撮った外観写真を置いたAが勝ち、表示回数はBの約2.4倍になりました。ところが、見学予約がついたのは負けたBの方だけでした。この結果をどう読み、次のバナーにどう生かすかをまとめます。
テストの概要
| 業種 | 住宅会社(注文住宅の完成見学会) |
|---|---|
| 目的 | 見学会の来場予約 |
| 配信媒体 | Meta広告(Instagram・Facebook) |
| 期間 | 約2週間 |
| 比べたもの | 背景の色、メインコピーの内容、外観写真の撮り方(斜め/正面) |
趣味の部屋と吹き抜けのリビングが特徴の家を、期間限定で公開する見学会の広告です。A・Bとも、外観写真・エリア名・開催日・予約特典の帯という要素は同じで、見せ方を変えています。
AとBで変えたところ

Aパターンは、暗い石目調の背景に、斜めから撮った外観写真を大きく置いたバナーです。メインコピーは、ひとりで過ごす時間と家族で過ごす時間の両方を楽しめる、という「その家での過ごし方」を伝える内容にしました。
Bパターンは、淡い暖色の背景に花びらのあしらいを散らし、正面から撮った外観写真を置いたバナーです。メインコピーは、見学会で家の大きさを実際に体感できる、という「見学会で体験できること」を伝える内容にしました。
今回は背景の色・コピー・写真の撮り方を同時に変えているため、「どれか1つだけの差」とは言い切れない点はご了承ください。
結果:表示とクリックはA、予約はB

| バナー | 表示回数(Bを1としたとき) | クリック率(CTR) | 見学予約 |
|---|---|---|---|
| A 暗い背景×斜めの外観 | 約2.4倍 | 2.07% | なし |
| B 淡い背景×正面の外観 | 1 | 1.51% | あり |
| 参考:内観写真のバナー | 約1.2倍 | 1.51% | なし |
クリック率(CTR)は、広告が表示された人のうち、クリックした人の割合です。Aはクリック率でもBを0.56ポイント上回り(約1.4倍)、表示回数・クリック率の両方で勝ちました。このテストでは勝ち負けを「どれだけ表示されたか」を第一に判断しているため、判定はAの勝ちです。
一方で、見学予約がついたのはBだけで、配信を始めた翌日には予約が入っていました。ただし予約の件数はごく少なく、「Bの方が予約につながりやすい」とまでは言い切れません。それでも、表示回数だけを見て「Bは失敗」と片づけるのはもったいない結果です。
なお、同じ時期に内観写真を使ったバナーも配信していましたが、クリック率はBと同じ1.51%で、予約にはつながりませんでした。
Aが多く表示された理由
斜めの外観で、家が大きく立体的に見えた
正面から撮った外観は、家が四角く平たく見え、実際よりコンパクトな印象になりがちです。Aは斜めから撮った写真で奥行きが出ており、暗い背景の中で建物がくっきり浮かび上がります。スマホで流し見している人の目を止めやすかったと考えられます。
「どんな暮らしができるか」がコピーで伝わった
Aのコピーは、趣味の部屋と吹き抜けのリビングという間取りの特徴を、ひとりの時間と家族の時間という、暮らし方の言葉に置き換えていました。見学会にまだ興味がない人にも、「こんな暮らしができる家」として受け取ってもらいやすかったと考えられます。
Bが伸びなかった理由と、予約がついた理由
遷移先ページと見た目がずれていた
Bの淡い暖色のデザインは、クリックした先のページ(遷移先ページ)の雰囲気と差がありました。バナーと遷移先ページの見た目がずれていると、クリックした人が「思っていたのと違う」と感じてすぐに離れやすくなります。Meta広告では、こうした広告は「質の低い広告体験」と判断され、配信が伸びにくくなると考えられます。
コピーが少しわかりにくかった
「家の大きさを体感できる」ことを伝えるBのコピーは、言葉が抽象的で、何をどう体感できるのかが一瞬では伝わりにくい表現でした。もっと具体的なコピーにすれば、クリック率も上がる余地があったと考えています。
それでも「見学会に行きたい人」には届いた
Bのコピーは、見学会で何ができるかをはっきり伝えるものでした。表示される人数は少なくても、クリックした人の中に「実際に見に行きたい」と考えている人が多かった可能性があります。広く目を止めるのはA、見学会への行動を後押しするのはB、と役割が分かれた結果とも読めます。
参考:内観のバナーは、写真の間の文字で見づらくなった
同時に配信した内観のバナーは、上に吹き抜けの写真、下にリビングの写真を置き、その間にコピーを挟んでいました。写真が文字で上下に分断されると、視線があちこちに動いてしまい、どちらの写真の魅力も伝わりにくくなります。別の住宅広告のテストでも、写真を挟んで文字を上下に分けたレイアウトは、文字を上にまとめたレイアウトに負ける傾向がありました。
次に試したいこと
- 遷移先ページの最初の画像をBに寄せる:Bで予約がついたことを踏まえ、遷移先ページの最初の画面の写真を差し替えて、バナーとのずれをなくす提案をします
- コピーを具体的にする:「何を」「どう」体感できるのかがひと目でわかる言葉にします
- Aの見せ方で予約まで取れるか確かめる:表示が伸びるAの構成のまま、見学会の中身が伝わるコピーを組み合わせた案を試します
他の業種でも使えるポイント
- 表示回数と予約の両方を見る:表示回数で勝ったバナーが、必ず予約を取ってくるとは限りません。負けたバナーに予約がついていたら、その理由を考えると次の改善のヒントになります
- バナーと遷移先ページの見た目をそろえる:色や写真の雰囲気がずれると、配信が伸びにくくなると考えられます。バナーを作るときは、クリックした先のページとセットで考えます
- 写真を文字で分断しない:店内や施術の写真を複数使うときも、文字は上か下にまとめ、写真の間に挟まないようにします
まとめ
完成見学会の広告で、暗い背景に斜めの外観写真を大きく置いたAが、表示回数で約2.4倍、クリック率でも約1.4倍となり、テストの判定では勝ちました。一方で、見学予約がついたのは負けたBだけでした。表示回数で勝ち負けを決めつつも、予約がついたバナーの良いところを拾い、遷移先ページやコピーの改善につなげることが大切です。
アドデザインラボでは、こうしたA/Bテストを毎週続けています。「表示はされるのに予約が増えない」「どの数字でバナーを判断すればいいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。
