A/Bテストは、数週間かけて結果を見るものだけではありません。広告の運用では、配信を始めて数日で反応の悪いバナーを止め、予算をよい方に集めることもよくあります。
今回は、地方の住宅会社が開いた夏のキャンペーンイベントの広告で、すっきりしたタイトルのバナーと、花火の飾りと斜めの帯文字でお祭り風にしたバナーを比べました。配信3日目の時点で、すっきりしたバナーの表示回数がお祭り風の約1.5倍になり、お祭り風のバナーはその日に配信を止めています。3日間という短い期間での判断であることを前提に、お読みください。
テストの概要
| 業種 | 住宅会社(展示場での夏のキャンペーンイベント) |
|---|---|
| 目的 | 来場予約を増やす(予約の数を最大化する設定) |
| 配信媒体 | Meta広告(Instagram・Facebook) |
| 期間 | 約1か月の予定。Bは配信開始から3日目で停止(短期の判断) |
| ターゲット | 20代半ば〜40代で、住宅の購入に関心がある人 |
| 比べたもの | タイトルまわりの見せ方(すっきり/お祭り風)と、背景・写真の見せ方 |
決まった地域に住む人だけを対象にした、期間限定のキャンペーンです。展示場に来場予約をして来てくれた人に、来場特典を用意していました。バナーはどちらも縦長のサイズです。
AとBで変えたところ

Aパターン(すっきり)は、植物の影が落ちた薄いグレーの背景に、濃いグレーのイベント名をまっすぐ置いたバナーです。対象地域を示す吹き出しを上に添え、飾りは手書き風の英字を小さく重ねる程度にしました。外観写真は切り抜いて、周りの景色を消しています。
Bパターン(お祭り風)は、空と花火のイラストを背景にして、夏祭りのようなにぎやかさを出したバナーです。イベント名は青のグラデーションの帯に白文字で入れ、全体を斜めに傾けました。外観写真は、周りの景色ごと使っています。
入っている文字の内容(イベント名・開催期間・特典など)はほぼ同じです。タイトルまわりのほか、背景や写真の見せ方、下の帯の色も同時に変わっています。
結果:3日目の時点で、表示回数は約1.5倍

| バナー | 3日目時点の表示回数(Bを1とした比) | クリック率(CTR) | 来場予約 |
|---|---|---|---|
| A すっきり | 約1.5 | 0.57% | なし |
| B お祭り風 | 1 | 0.54% | なし |
配信3日目の時点で、AはBの約1.5倍表示されていました。大差とまでは言えませんが、広告の運用担当は「初速の悪い方を止める」という判断で、Bをその日に止めました。理由を確認すると、「成果のよいバナーに予算を集めるため。ほかのバナーと比べて、クリック率やクリック1回あたりの費用が少し劣っていた」とのことでした。
クリック率(CTR)は、広告が表示された人のうち、クリックした人の割合です。Aは0.57%、Bは0.54%で、ほとんど差はありません。なお、Aは集計時点まで配信を続けた数字、Bは3日間だけの数字です。来場予約は、集計時点ではどちらにもついていませんでした。
すっきりしたタイトルが優勢だった理由
斜めの帯文字は、一瞬では読みにくい
Bは、グラデーションの帯に白い文字を入れ、さらに斜めに傾けていました。にぎやかさは出ますが、スマホのタイムラインで流し見されると、傾いた文字は読み取りにくくなります。Aは濃い文字をまっすぐ置いただけなので、イベント名がすっと目に入ります。見やすさの差が、最初の反応の差になったと考えられます。
青が多すぎて、冷たい印象になった
Bは、空・花火・帯・文字と、ほとんどが青系でした。夏らしさを狙った配色ですが、青を重ねすぎると、明るさよりも冷たさが勝ってしまいます。白とグレーを基調にしたAの方が、かえって爽やかに見えたと考えられます。
3日で止める判断をどう見るか
今回の勝ち負けは、3日間の表示回数の差で決まりました。Meta広告は、配信を始めてすぐの反応がよい広告に表示を多く割り当てるので、最初の数日で差がつくことは珍しくありません。予算に限りがある中で、早めに負けた方を止めるのは合理的な判断です。
一方で、3日間は短く、クリック率の差もわずかでした。「お祭り風のデザインはだめ」とまでは言い切れません。BのにぎやかさはAにない魅力でもあるため、見やすさを保ちながらにぎやかさを足す方向で、作り直す余地があると考えています。
参考:同じデザインでも、縦長とスクエアで差がつくことも
今回のテストとは別に、同じ広告の中で、同じデザインの縦長とスクエア(正方形)のバナーを並べて配信したところ、縦長の方がスクエアの10倍以上表示された例がありました。ほかのデザインでも、形によって表示回数に大きな差が出ることがありました。
縦長はスマホの画面で大きく表示されるため有利、という見方がある一方で、縦長は使う広告が多い分、あえてスクエアにした方が効率よく表示されることもある、という見方もあります。どちらが有利かは場合によって変わると考えられるため、余裕があれば両方の形を用意して比べるのがおすすめです。
次に試したい改善案
- 動きをつけるのは一部だけにする:にぎやかさは残しつつ、斜めにするのはサブコピーなど一部にとどめ、イベント名はまっすぐ読みやすく置きます
- 色の数を整理する:タイトルまわりがすべて青系にならないよう、飾りを減らした分、イベント名の色を変えて目立たせます
他の業種でも使えるポイント
- いちばん大事な文字は、まっすぐ置く:お店の名前やキャンペーン名など、必ず読んでほしい文字は、傾けたり帯の上で白抜きにしたりせず、まっすぐ濃い色で置きます
- 季節感を出すときも、色を重ねすぎない:夏なら青、冬なら白など、季節の色を使うときは、背景・飾り・文字のすべてを同じ色にしないようにします
- 短期で止めたテストは、もう一度試す価値がある:数日で止めたバナーは、デザインそのものの評価ではなく「初速の差」で負けたことがあります。改善してから、もう一度比べてみます
まとめ
夏のキャンペーンイベントの広告では、すっきりしたタイトルのバナーが、花火と斜めの帯文字でお祭り風にしたバナーより、配信3日目の時点で約1.5倍表示され、お祭り風のバナーはその日に止めました。3日間という短い期間での判断ですが、「ひと目で読めるかどうか」が、配信の初速を左右したと考えられます。
アドデザインラボでは、こうしたA/Bテストを毎週続けています。「にぎやかさと読みやすさのバランスに迷っている」「キャンペーンの来場予約を増やしたい」という方は、お気軽にご相談ください。
